きよすクリニック 診察室から

患者さんの熱い想い  No.27
 今日は、成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド、脱保湿の講演会に参加してきました。
http://steroidwithdrawal.web.fc2.com/

 治療に携わる医師の講演のみならず、患者さんの体験談や、患者さんからの真剣な質問と、それに答える医師の話を聞いていると、少しでも良くなりたい!という患者さんの熱い想いと、それに応えようとする医師の熱い想いが伝わってきます。

 私はいろいろな縁で、実際の現場では非常に優れた治療法であるにもかかわらず、関連学会の標準治療として認められず、異端扱いされている治療法にいくつかめぐり合いました。そしてその良さを広めていきたいと思っています。

その治療法とは、
1.褥創(褥瘡、床ずれ)のラップ療法
2.創傷(キズ)、熱傷(やけど)の湿潤療法
3.透析導入を遅らせる、腎臓病の低たんぱく食
4.成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド、脱保湿療法
です。

 これらの治療は、大学病院や大病院ではなく、草の根的に、中小病院や開業医の一医師が行っていることが多く、患者さんは大学病院や大病院の治療に見切りをつけ、その「草の根的医師」を探し当てて治療を受けているのが現状です。

 それでも、「良いものはやはり良い」わけで、少しずつ普及し、ついには標準治療を超えてしまうことでしょう。

 例えば褥創のラップ療法は、何年もの間、学会のガイドラインに取り上げられずにいましたが、今年になって日本褥瘡学会がラップ療法に対する公式見解を出しました。http://www.jspu.org/jpn/info/pdf/20100303.pdf

 また、同じく今年に発表された研究
「高齢者介護のための新たな褥瘡治療法に関する調査研究事業:褥瘡患者に対する既存標準治療と新たな褥瘡治療法の創傷治癒促進効果に関するランダム化比較試験」
では、ラップ療法は現状の診療ガイドラインに準拠した標準治療法に比較して同等か、より効果が高い治療法であることが示唆されています。

 一方、湿潤療法は、さまざまな学会で取り上げられたり、テレビなどのマスコミでも取り上げられる機会が増えてきています。処置が簡単で痛くなく、早くきれいに治るのですから当然といえば当然です。

 腎臓病の低たんぱく食も、研究会や講演会が増え、有用性が広まってきています。低たんぱく食は「栄養失調の懸念がある、おいしくない、コストがかかる」などと言われることがありますが、実際に低たんぱく食を行っている患者さんは、「体の調子が良くなったし、おいしい」と言って、活き活きしています。
 コストがかかると言いますが、透析療法よりははるかにコストがかからないわけですから、保険適応になるよう、学会が働きかけて欲しいものです。
 にもかかわらず、食事療法に積極的な医師が少ないのは不思議ですね。


 優れた治療は、医師が「優れている」と決めつけるのではなく、患者さんが良さを実感できる治療だと思います。
2010/09/19



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